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彼はどれだけ複雑に見える事象も自己相似の特徴を備えていれば、その複雑さを解明することができるはずだと考えたのである。 マンデルブロには、兄のロテンブロと妹のコンヨクブロといったふざけた名前の兄妹はいなかったので、自分一人で研究をかさね、自己相似という特徴を持つものを総じてフラクタル(fractal)と名付けたのである。
「フラクタルな図形」は米粒の上に小さく書こうが、B4大の紙いつぱいに大きく書こうがパターンはまったく同じになる。 こうしてフラクタルという概念が成立し、以降、物理学や数学で広く応用されてきているのだ。
複雑な形状といえば真っ先に思い浮かぶのが、株価の推移のグラフ(チャート)である。日経225平均の動きをチャートにしたものである。 3つのチャートはどれも複雑な動きをしているのだが、似たようなユラユラ具合で動いている。
これは、かなりの確率で自己相似であると言えるのではなかろうか。 言えないと話が進まないので言えることにする。

すなわち株価の動きはフラクタルであると推論するのである。 「複雑系」で株価の動きが説明できると推論するのである。
何も予測できないマンデルブロの法則もしも、株価の動きが自己相似、つまりフラクタルであるとすれば、どの時期をとらえても株価の動きは他の時期と同じパターンの動きをするということになる。 これを将来に当てはめてみると、今後100年間の株価の動き、今後10年間の株価の動き、今後1年の株価の動き、1カ月、1日、1時間のどれも同じパターンの動きをするということになる。
この仮説が意味することを考えてみよう。 「今から100年間の株価の動きを予想しろ」と言われたら、「そんな先のことはわからない」と答える。
「今から1時間では?」と聞かれれば、「それならやろうか」という気になるはずである。 1時間であれば100年間の予想より正確な予想ができそうな気がするはずである。
ところが、「そうではない!」というのがこの仮説の意味するところなのである。 「100年間のパターンが予想できないのなら、今から1時間の株価の動きも予想できない。
なぜなら両者は同じパターンだからである。 究極的には、たとえ一瞬後であれ株価は予想できない」ということを意味しているのである。
これは「マンデルブロの法則」と呼ばれている。

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